貴金属・ジュエリーの査定に欠かすことができない刻印。その刻印はどこにどんな風に打たれてるか、どんな刻印に価値があるご存じですか?ここでは、金・プラチナ・シルバーのジュエリーなどに打刻されている「刻印」についてご紹介します!
公開日:2013年11月26日
最近、質屋や買取店などでも金・プラチナを扱う機会が多くなりました。
インターネットやチラシなどでも、取引価格を簡単に知ることができ、価格競争になっておりますが・・・
金やプラチナにもいろんな種類があることをご存知ですか?
では、皆さんは、ご自分がお持ちの貴金属はどのくらいの値段になるか、ご存知ですか?
ここでは、ジュエリーなどに打刻されている「刻印」についてご説明いたします。
「金・プラチナを見分ける比重検査」の方法についてはこちらをご覧ください。
刻印とは、指輪やネックレスなどの貴金属製品に打たれている、製品の情報を示すマークです。
刻印には、金性(金やプラチナ等がどのくらい含まれているか)を示す刻印、ブランドの刻印、ダイヤモンドやサファイヤ・ルビーなどの色石の石目(サイズ)の刻印など、様々な種類があります。
この刻印は必ず表示しなければいけないという義務はありませんが、刻印で嘘の表示をすると詐欺罪、となってしまいます。
そのため、我々質屋や、買取店、リサイクルショップなどで査定する際には、必ずこれらの刻印を確認します。
もちろん、刻印のない貴金属製品も存在します。
その場合には、見た目、比重検査、試金石検査など、様々な検査を用いて金性を推測しながら査定を行います。
金は柔らかく、純金の状態ではリングやネックレスなどの加工品には向かないため、金以外の金属を混ぜて適した固さに調整してから加工します。その割合により21金・18金・14金などと呼ばれ、例えば、金を75%使用した場合は18金と呼ばれ、一般的に「K18」「750」という刻印が使われます。
刻印 | 意味 | |
---|---|---|
K24 | 1000 | 24金(金100%、純金) |
K22 | 917 | 22金(金91.7%) |
K21 | 900 | 21金(金90.0%) |
K20 | 835 | 20金(金83.5%) |
K18 | 750 | 18金(金75.0%) |
K14 | 585 | 14金(金58.5%) |
金以外の金属には、一般的に銅や銀、パラジウムなどが使用され、例えば銀60%+銅40%の場合は黄色っぽくなるなど、それぞれの割合により色合いが変わります。
色々な呼び名がありますが、イエローゴールド(YG)、ホワイトゴールド(WG)、ピンクゴールド(PG)が一般的です。
まれに「18KT」というものもありますが、KTはカラットという単位で、K18と同等の意味です。
[アトK]
このように数字の後に「K」があるものを、通称「アトK」と呼びます。
日本で使われる金の刻印は、「K18」「K14」の様に前に「K」が付くことが多いのですが、中には「18K」「14K」のように、後に「K」が付くものがあります。これらは「アトK(アトケー)」と呼ばれます。アトKはヨーロッパやハワイアンジュエリー、東南アジアなどで製造されたジュエリーや国内の非常に古いジュエリーに多く見られます。
この中で東南アジアで製造されたジュエリーや国内の非常に古いジュエリーの場合は要注意です。製造技術が追い付かないために本来の金の含有率に満たなかったり、そもそも全くアテにならないことも多く見受けられます。こういったお品物をお持ちいただいた場合は、比重検査や試金石検査などを行ってお調べのうえ、お値段を算出させていただきます。
(その結果を品位を下げたり、お取り扱いできない場合もございます。)
[純金だけの刻印]
「純金」という漢字の刻印しかないものは、純金ではないことも・・・
印台と呼ばれるデザインの指輪には、「純金」とだけ刻印が入っているものががあります。
刻印から見ると「純金」なのかな?と思われがちですが、比重検査などを行ってみると、純金にわずかに満たない「22金」程度であることがあります。
こういった場合は、その検査結果の含有率でお値段を算出させていただいております。
[シナ金、足金]
中国圏で作られた「シナ金」は見た目に黄色いことが多い。(上がシナ金、下が18金)
中国圏などで販売されている「純金」の指輪やネックレスは、通称「シナ金」と呼ばれています。シナ金の特徴は、一般的な金製品よりも見た目の色がかなり黄色味を帯びています。また、純金という名目で販売されていますが、ほとんどの場合は「22金」「21.6金」程度です。
また、同じく中国の指輪には「足金」という刻印もありますが、この場合は「22金」程度であることがほとんどです。同じように「千足金」は「23金」、「万足金」は「24金」程度です。
このように中国圏で販売されている金製品に関しては、色や刻印、比重検査などで含有率を判断し、お値段を算出させていただきます。
[WGだけの刻印]
通常のホワイトゴールドの場合は「K18WG」や「K14WG」といった刻印となります。しかし、中には「WG」だけの刻印ものがあります。
「WG」刻印のものには、ほとんど金が含まれず実際は銀やニッケルなどの安価な素材にロジウムメッキをかけただけの粗悪品も多くみられます。この場合はもちろん、貴金属としての価値はありません。そのため、比重検査や試金石検査などをを踏まえたうえでお値段を算出させていただきます。
[刻印が不鮮明/汚い場合]
ジュエリーの中にはK18という刻印があるにも関わらず、その刻印が非常に不鮮明だったり、非常に乱雑な場合があります。ジュエリーの傷を取るために磨いた結果見にくくなる場合もありますが、刻印の信頼性に劣るものもございます。そういった場合には、比重検査や試金石検査などをを踏まえたうえでお値段を算出させていただきます。
[○○KT/○○KP]
例えば18Ktや14Ktのように○○Ktという刻印。
これは「カラット」と呼び、実は海外においては正式な金の品位を示す単位なのです。
Kが後についてるからアウト!そんなことはございませんよ!
同様に18KP、14KPなど○○KPという刻印も問題ありません。
[750/585]
なんか数字が書いてあるだけ…
ヨーロッパのブランドジュエリーに多く見られますが、これも立派な金の刻印です。
上の表にもあるように、750=K18、585=K14ですので、この刻印がきちっとあれば大丈夫です。
[18K Italy]
18Kだからアウト!
でもちょっと待ってください。
近くに「Italy」などの国を示す刻印はありませんか?
ほとんどの場合はItalyという刻印ですが、国名が刻印があり、例えば☆2337ALなどの製造工場の刻印、他にも750や585個などの刻印があり、かつ刻印がしっかりしている場合は「アトケー」でも問題ありません。
過去にも偽物が出回ったことがありますので、刻印が正確に打たれていない、「18K」「Italy」の刻印がバラバラに打たれた形跡があるなどの場合は要注意です。いずれにしても、この刻印は実物をはっきり見たうえでの判断が必要になります。
このような刻印があるとメッキ製品であることの証明になります
刻印の中には、「K18GP」や「K18GF」のようメッキを示す刻印がある場合があります。
これらの文字がある場合には、別の素材(たとえば鉄やタングステン)などに金やプラチナメッキを施している事になり、金・プラチナとしての価値はありませんので、当店でのお取り扱いはできません。
「金杯」や「大判・小判」などのレプリカ品に多いようです。
刻印 | 意味 |
---|---|
GP | Gold Plated、メッキ |
GF | Gold Filled、金張りメッキ |
GR | Gold Rolled、金張りメッキ |
GS | Gold Shelled、金張りメッキ |
RGP | Rolled Gold Plate、金張メッキ |
GEP | Gold Electro Plated、電気メッキ |
HGE | HARD GOLD ELECTROPLATED、電気メッキ |
WGF | White Gold Filled、ホワイトゴールド張りメッキ |
K18 3Mなど | 3ミクロンのメッキ(○M=○ミクロンのメッキ) |
金と同じように、プラチナの場合も強度を保つために、銀やパラジウムなどの金属を混ぜて使用します。一般的にはプラチナの含有率が85%以上のものをジュエリーで使用します。現在は「Pt950」のようにプラチナ=「Pt」と表していますが、昔はプラチナ=「Pm」と表記していました。
刻印 | 意味 |
---|---|
Pt1000 | プラチナ100% |
Pt950 | プラチナ(95.0%) |
Pt900/Pm900 | プラチナ(90.0%) |
Pt850/Pt | プラチナ(85.0%) |
[Ptのみ]
「PT」のみの刻印はPt850相当と考えられます。
現在はプラチナ900(Pt900)でジュエリーが作られることが多いのですが、少し前はプラチナ850(Pt850)で作られることが一般的でした。その当時は、ジュエリーに「Pt」のみ刻印されることがありましたので、その名残の製品であることがうかがえます。この場合、当店ではPt850相当と考えてお値段を算出させていただきます。
[PM、Pm]
「PM」刻印はかなり古いもので、要注意です
Ptよりも古い刻印が「PM」刻印です。この刻印はかなり昔や海外で作られていることも多く、プラチナ850よりもプラチナの含有率が低いことがあります。また、中には「軽P(カルピー)」とも呼ばれるプラチナがほとんど含有されていない偽物もあります。要注意な刻印のため、見た目や比重検査などで判断させていただく事になります。
[Pt100]
「PT100」には貴金属としての価値はほとんどありません。
非常にまれではありますが、プラチナを装った「Pt100」という刻印もございます。この場合、実際はプラチナでないか、非常にわずかなプラチナしか含有していないため、お値段が付かないことがほとんどです。
金メッキほどではありませんが、中にはプラチナメッキの製品も存在します。
お目にかかることはほとんどありませんが、念のためご紹介!
刻印 | 意味 |
---|---|
PTP | Platinum Plated、メッキ |
PTF | Platinum Filled、プラチナ張りメッキ |
PP | Platinum Plated、プラチナ張りメッキ |
PR | Platinum Rolled、プラチナ張りメッキ |
RH.P | Rhodium Plated、ロジウムメッキ |
ロジウムメッキは、通常ホワイトゴールドやプラチナにされている処理ですが、上記「RH.P」は、もともとの素材が金やプラチナでないものの上にロジウムメッキを施している、という点でアウトな商材となります。
シルバーは、金やプラチナと違って非常に単価が安いのが特徴です。
2017年12月現在の価格を見てみると、K24=4,700円/g、Pt1000=3,300/g、SLV1000=56円/gと、極端に安いことはあまり知られていません。そのため、シルバーの指輪やネックレスですと、買取額は数百円という事も珍しくありません。(シルバージュエリーには宝石は使わないことが多く、その場合は銀の価格の査定となります)
純銀、1000 | シルバー(100%) |
---|---|
950 | シルバー(95%) |
925 | シルバー(92.5%) |
STERLING SILVER | シルバー(92.5%) |
[SILVERのみ]
刻印が「SILVER」のみの場合は、きちんと銀が使われている場合と、全く使われていない場合に分かれます。当店では、刻印のきれいさ、見た目、比重検査、その他の検査などを通して判断いたします。
[洋銀]
洋銀と刻印があればちょっと変わった銀なのかな!?と思われるかもしれませんが、実際は銀ではなく亜鉛やニッケルなどの合金です。そのため、当店ではお取引ができません。
金メッキほどではありませんが、中にはプラチナメッキの製品も存在します。
お目にかかることはほとんどありませんが、念のためご紹介!
刻印 | 意味 |
---|---|
SP | Silver Plated、銀メッキ |
SILVER G | SILVER GILT、銀メッキ |
SILVER.F | SILVER FILLED、銀張りメッキ |
Sheffield Silver | 銀メッキ |
そのほかにも色々な刻印があります。
全ては紹介できませんが、代表的なものだけご紹介いたします。
[Pd950]
非常に珍しいですが、パラジウムを素材とした指輪もございます。
パラジウムという金属で作られたジュエリーです。あまり聞き馴染みのない金属かもしれませんが、実はホワイトゴールドやプラチナのリングの上により美しさを出すためにメッキ(コーティング)として使われている金属です。ごくまれにジュエリーになっているものがみられます。
最近ではパラジウム価格の高騰により、プラチナ相応の価格が付くようになりました。(2020年2月現在)
[P/S]
プラチナとシルバーを混ぜ合わせた合金で、PT100と変わりません。
ほとんどがシルバーですので、貴金属としての価値はほとんどありません。
[PWG9]
有名なジュエリー販売店、ジュエリーマキが独自に開発した金属です。プラチナや金、シルバーなどを混ぜ合わせていますが、実質は9金程度の価値です。
[PWG、PWS、SPM]
いずれもプラチナや金の様相を呈していますが、スズや鉛、真鍮、銅などの合金です。
貴金属としての価値はありません。
[SYD、LGD]
SYDはSynthetic Diamondの略、LGDはLabo Grownの略。
つまり、SYDもLGDも合成ダイヤモンドを使用しているジュエリーに使用されている刻印です。
まだそれほど広まってはいませんが、合成ダイヤモンドの普及とともに広まってくる可能性があります。
もちろん、合成ダイヤモンドには天然ダイヤモンドほどの価値はございません。
偽物と思われる刻印をご紹介します。
やはり刻印が汚かったり、素材感がおかしかったりと、違和感がありますね。
[K18フェイク刻印]
当店で実際に買い取ってしまった例です。
当店で実際に買い取ってしまった例です。
K18と書いてありますが、どう見ても嘘くさい(つぶれた)刻印です。
そしてどう見てもシルバー925の色をしており、ロジウムメッキをかけた金製品とは思えません。
実際に測定するときっちりシルバー925。
どうしてこんなの買い取ったんだろう・・・画像でも分かるシルバー感。
もうね、魔が差したとか・・・
ホールマークとは、造幣局が貴金属製品に含まれる貴金属の純度検査を行い、認められたものだけにつけられるマークです。いわば、日本の国のお墨付き、と言えるでしょう。検査は無料ではないため、比較的きちんとしたメーカーが作成したジュエリーに見られます。
下に示すもの以外にいろいろな純度のバージョンがあります。
純金や純プラチナ、純銀などは昔は「1000」という表記でしたが、平成24年の改正により「999」と表記されることになりました。そのため、昔のホールマークには1000という表記が見られますが、問題はありません。
結論から言うと刻印があっても100%は信頼できません。
造幣局のホールマークがあっても100%は信頼できません。
どういうこと??と思われるかもしれませんが、要するに「素材と刻印が一致していない」のです。例えば、10金相当の金(41.7%)しか含まれていないのに、「K24」の刻印が打ってあったり・・・
もちろん、正しく作られた製品はそんなことはありません。
しかし、これだけ金・プラチナが騒がれると、製品がだます目的で作られたり、それ以外にも時代背景や作られた国により、正確に刻印が打たれていない場合もあります。実際にそういうものは私たちの業界では多く見受けられます。
じゃあ、どうやって見分けるの???
それは、もう経験です(笑)刻印の鮮明さ、打ってある位置、色、見た目、持った感じ、キズの付き方、メッキ感、比重検査、試金石検査など、毎日金・プラチナに触れていればこそわかるカンで見抜くわけです。
ちなみに・・・
国内法では、金性の刻印に嘘を記すと詐欺罪が適用されます。
また、嘘の刻印と知りながら売却した場合も詐欺罪が適用されます。
〒561-0858 大阪府豊中市服部西町1-1-12
TEL : 0120-17-4178
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